10月26日週の資金調達
オーストラリアの代替肉メーカーが約55億円調達、バングラディッシュの小規模事業者向けDXプラットフォームが約22.5億円調達、分散型アプリケーションプラットフォームが約40億円調達など
SEQUOIA CAPITAL
①Retool / ビジネスツールプラットフォームの提供 B2B ソフトウェア
5000万ドル(約50億円) シリーズB
開発者が独自のコードを書く柔軟性を維持しながら、ワークフローを標準化してデータを高速かつ正確に操作するためのインターフェイスを作成する。
注目のポイント:これまで企業内のアプリケーション開発は、社内エンジニアがゼロから開発することで膨大なコストと時間を使っていたが、Retoolのローコードアプローチにより、アプリケーションを最大40倍高速に構築することができるようになる。
②V2food / オーストラリアにて植物から代替肉を生産し提供 B2C フード
5500万ドル(約55億円) シリーズB
マメ科の植物から代替肉を生産している。アジア市場への参入のためにセコイアチャイナを含めアジアのファンドから資金調達。
注目のポイント:これまで代替肉は、ベジタリアンや健康志向の高い人の購入に限られていたが、味の改善と、世界的な環境への関心の高まりにより、欧米諸国を中心に需要が増加した。地理的に欧米諸国よりも近いポジション(オーストラリア)で、アジア市場を獲得できるかがV2foodにとっての成長の鍵となっている。
③Shopup / バングラディッシュにて小規模販売者にデジタルトランスフォーメーションを提供 B2B ソフトウェア
2250万ドル(約22.5億円) シリーズA
企業間取引を処理し、中小企業がデジタルクレジット、ビジネス管理ソリューション、ラストマイルロジスティクスなどに簡単にアクセスできるようにしている。
注目のポイント:バングラディッシュでは、コロナの影響で多くの取引先・仕入元が閉鎖され、小規模事業者にとって新しい顧客にリーチをする必要が生まれた。Shopupのデジタルプラットフォームがその課題を解決する可能性がある。
④Slintel / 企業向けのセールスマーケティングツール提供 B2B ソフトウェア
420万ドル(約4.2億円) シリーズA
AIを活用し顧客の購入意向を捉え、ターゲットの中から最もアクティブな3%の購入者を発見するのを支援する。開発は全てインドの拠点で行っている。
注目のポイント:コロナの影響で、これまで以上にオンラインで顧客動向を把握できるようになった。Sintelを使うことで、それらのデータをもとにターゲットを絞り込み、効率のよい営業を行うことができるようになる。
⑤Bijak / インドにて農産物向けのB2Bプラットフォームの開発 B2B ソフトウェア
1200万ドル(約12億円) シリーズA
農産物ビジネスにおける買い手と売り手に、より良い販売・購入機会、キャッシュフローの改善、最適なロジスティクスを提供している。
注目のポイント:インドの農産ビジネスでは多くの中間業者が存在する。そのため、全体のデジタルプラットフォーム化が進まず、オフラインでのやりとりにコストがかかっていた。Bijakは、リアルタイムで支払いからデジタル台帳を作成するなど、信頼性と透明性を担保し、かつスムーズな取引を可能にすることで、デジタル化に成功しようとしている。
FOUNDERS FUND
①Newfront / テクノロジーを活用したビジネス保険ブローカー B2B 金融
6800万ドル(約68億円) シリーズC
テクノロジー主導で保険の仕組みを再構築し、数十ページの説明書、紛らわしいポリシー条件、面倒な更新サイクルをなくすことに成功している。
注目のポイント:これまでも大手を含めテクノロジーにより保険の再構築を図った企業はあるが、制度上の問題が複雑であった。Newfrontは保険業界の経験のある人材(Alliant、HUB、Lockton)とテクノロジー業界の経験のある人材(Uber、LinkedIn、Intuit)をチームを集めたことで成功した。
ANDREESSEN HOROWITZ
①Anyscale / 分散型アプリケーション開発のためのプラットフォーム開発 B2B ソフトウェア
4000万ドル(約40億円) シリーズB
ユーザーがサーバーレスで、分散アプリを構築、デプロイ、管理できる機会を提供。カリフォルニア大学バークレー校のコンピュータサイエンス研究所であるRISELabで開発されたRayの開発者によって設立された。
注目のポイント:これまで分散型のアプリケーションを構築するには、適切な専門知識を持つチームが必要であったが、Anyscaleによってラップトップでプログラムを実行するのと同程度の知識で(分散型システムが)構築できるようになる可能性がある。
今週も面白かったです。
## Retool
DBの社内用途での構築を高速化するというこころみ、これは面白いかもだけど、どこまで一般的なウェブサービスとの親和性があるかだよね。今後の伸びに期待かな!
## Anyscale
個人的に Rayは強化学習の研究の一環で触っていたのでこういった形でサービス化されているというのはしれてよかったです。ただこれはウェブサービスの分散ではなく、機械学習、特に深層学習、のモデルトレーニングを分散処理で行うという部分になるので、そこまで一般userに浸透してくかは僕もわかりません。