5月31日週の資金調達
1 Sequoiaが11件の投資 2 心理学ベースのデジタルヘルスプラットフォームが540億円調達 3 住宅ローン向けデジタルクロージングプラットフォームが150億円調達 など合計19件
SEQUOIA CAPITAL
①Taos Data / 中国のIoTビッグデータプラットフォーム B2B IoT
4,700万ドル(約47億円) シリーズB
IoTのためのビッグデータプラットフォームの構築を目指している。主力製品であるTDengineは、挿入/クエリのパフォーマンスにおいて、他の時系列データベースを10倍上回っている。
注目のポイント:近年、デバイスの急激な増加に伴い、データの収集、分析の需要が増加していた。Taos Dataは、オープンソースかつあらゆる環境やアプリケーションと互換性をもたせて導入のハードルを下げ、プラットフォームとしての地位を確立した。
②Noom / 心理学ベースのデジタルヘルスプラットフォーム B2C ヘルスケア
5億4,000万ドル(約540億円) シリーズF
体重管理、糖尿病予防、ストレス軽減など、健康目標の達成を支援する。さらに、プラットフォームを活用して、高血圧、糖尿病、ストレス、睡眠などのバーチャル治療を行う。
注目のポイント:近年、中高年の肥満や糖尿病の有病率は増加傾向にあり、さらに世界的に60歳以上の成人人口が増加している。そのため予防プラットフォームの需要が高まっており、そのニーズをNoomが解決している。
③Lemonilo / インドネシアの健康食品ブランド B2C 食品
調達額非公表 シリーズB
インスタント麺やスナック、調味料など40種類以上の製品を製造。インドネシア国内の10万以上の店頭で販売されている。
注目のポイント:市場であるインドネシアは、AIAが実施した健康状態に関する調査で、APACの中でワースト2となり、食生活の課題が認識されつつある。その中で、Lemoniloは手頃な価格の健康食品を提供し、この課題を解決しようとしている。
④Salt Security / APIセキュリティプラットフォーム B2B ソフトウェア
7,000万ドル(約70億円) シリーズC
注目のポイント:2022年までに、APIは最も頻繁な攻撃対象となり、企業のWebアプリケーションのデータ漏洩につながると予測されている。その中でSaltは、ビッグデータとAIを使い、従来のセキュリティツールでは解決できないAPIのセキュリティ問題を解決しようとしている。
⑤Atlan / シンガポールのデータコラボレーションワークスペース B2B ソフトウェア
1,600万ドル(約16億円) シリーズA
世界50カ国以上の200以上のチームに、データコラボレーションワークスペースを提供。
注目のポイント:パンデミックの影響で改めてFigmaなどのコラボレーションツールの需要が増加した。その中で、東南アジア市場におけるデータコラボレーションにおいてはAtlanがリードしようとしている。
⑥Canvas / ダイバーシティ採用プラットフォーム B2B HRテック
2,000万ドル(約20億円) シリーズB
注目のポイント:顧客であるエンタープライズは、Black Lives Matterの影響もあり、公平性の約束や多様な人材の雇用についてより多くの責任を問われるようになった。その中で、Atlanは、多様な候補者を特定する正確なデータセットを作成したことで、この市場をリードしている。
⑦Skiff / プライバシー保護に重点を当てたドキュメント B2C ソフトウェア
370万ドル(約3.7億円) シリーズSeed
設立1年未満での調達。ジャーナリスト、研究者、人権派弁護士など、数千人のユーザーが毎日Skiffを利用しており、さらに8,000人のユーザーがウェイティングリストに登録されている。
注目のポイント:近年、Facebookの情報漏洩等により、多くのスタートアップが、プライバシーを考慮されたツールを開発している。その中で、Skiffは、自社の技術のホワイトペーパーを公開し、コードの一部をオープンソース化することで、ユーザーの信頼を得ることに成功している。
⑧Phanes Therapeutics / 免疫腫瘍学の製薬企業 B2B 製薬
4,000万ドル(約40億円) シリーズB
米国と中国を中心に、腫瘍および眼疾患における革新的な生物学的製剤を開発。
注目のポイント:製薬業界においては、Sequoiaが米国と中国に投資している。特に中国では、臨床CROのdMed、腫瘍や免疫のD3Bio、遺伝子操作ワクチンのRecBio、抗体治療薬のTranscentaが100億円以上調達している。
⑨ Tessian / 英国にて企業向けに機械学習を利用したセキュリティを提供 B2B ソフトウェア
6,500万ドル(約65億円) シリーズC
機械学習を利用して人間のセキュリティリスクを可視化し、セキュリティ脅威を自動的に防止する。さらにセキュリティトレーニングによって、従業員に安全なメール行動を継続的に促す。
注目のポイント:リモートワークへの移行に伴い、従業員のセキュリティマネジメントに特化したスタートアップへの注目が集まっている。3月にはイスラエルのAxisがSequoiaから50億円調達した。
⑩Forter / eCommerce向けに不正防止を提供 B2B ソフトウェア
3億ドル(約300億円) シリーズF
年間オンライン取引額が2,500億ドルを超え、全世界で10億人以上に利用されている。
注目のポイント:これまでeCommerceを始める上で、不正防止のケアに大きなコストがかかっていた。Forterは、不正行為を正確にブロックすると同時に、より良いカスタマーエクスペリエンスを確保することで成長を可能にし、事業者がより付加価値の高い戦略に集中できるようにしている。
⑪Snapdocs / 住宅ローン向けデジタルクロージングプラットフォーム B2B 不動産
1億5,000万ドル(約150億円) シリーズD
金融機関が住宅ローン取引に関わるすべての関係者やテクノロジーと接続し、クロージングプロセス全体をオンラインで完了させることを可能にする。米国の全不動産取引の約20%に関与している。
注目のポイント:パンデミックにより、対面でのクロージングが難しくなる中で、金融機関においてもオンラインクロージングに対する需要が高まっていた。Snapdocsはそれらの金融機関と提携し、完全なオンラインクロージングを実現している。
FOUNDERS FUND
①Snapdocs / 住宅ローン向けデジタルクロージングプラットフォーム B2B 不動産
Sequoiaで上述。
②Clearing / 慢性疼痛患者向けデジタルヘルスケアプラットフォーム B2C ヘルスケア
2,000万ドル(約20億円) シリーズSeed
患者の経歴、病歴、症状を確認し、オーダーメイドの治療プランを作成する医療専門家と患者を結びつける。診療所で行っていることをオンラインに移行し、手頃な価格の理学療法や調剤薬局のプログラムに追加している。
注目のポイント:医師が不足していることで、5,000万人が適切な診療を受けられていないと言われている。Clearingはこの課題を解決しようとしている。
ANDREESSEN HOROWITZ
①SpotOn / 中小企業向けワンストッププラットフォーム B2B ソフトウェア
1億2,500万ドル(約125億円) シリーズD
8,000以上のレストランや小売業者向けに決済を含め、パーソナライズされたワンストッププラットフォームを適正な価額で提供。
注目のポイント:パンデミックの影響により、中小企業の経営が圧迫される中で、数多くのベンダーへの支払いが重荷となっていた。SpotOnは、ワンストップで提供し、顧客が数千ドルのコストを節約することを可能にした。
②Beacons / クリエイター向けのオンラインウェブサイトプラットフォーム B2B プラットフォーム
600万ドル(約6億円) シリーズSeed
使いやすくカスタマイズ可能なモバイルウェブサイトビルダー。コンテンツ制作、Eコマース、コミュニティ構築、アフィリエイトマーケティング等のサポートを提供。
注目のポイント:ユーザーであるクリエイターは、エンゲージメントや体験をオンラインで完結させる中で、これまでのSNSのテンプレート以上のクリエイティブなプラットフォームを必要としていた。Beaconsはその課題を解決しようとしている。
③Talos / 機関投資家向け暗号資産テクノロジープロバイダー B2B 暗号資産
4,000万ドル(約40億円) シリーズA
顧客は、バイサイドから金融サービスプロバイダーまで、デジタルアセットのエコシステム全体に及ぶ。Talosにより関係者は、単一のAPIを通じてシームレスにやり取りすることができる。
注目のポイント:ビットコインの価額上昇により、機関投資家による暗号資産の導入が加速している中で、Talosも成長している。
④Pyn / オーストラリアの企業向けコミュニケーションプラットフォーム B2B HRテック
1,040万ドル(約10.4億円) シリーズSeed
企業が従業員について把握している情報を活用して、より効果的なコミュニケーションを実現。
注目のポイント:これまでオーストラリアのスタートアップが、シリコンバレーのトップティアVCから投資を受けることはまれであった。しかし、パンデミックがオーストラリアから米国市場にプロダクトを投入する機会を作り出していることで、a16z側から投資のオファーが行われた。
⑤Turntable·fm / ソーシャルミュージックプラットフォーム B2C ソーシャル
750万ドル(約7.5億円) シリーズSeed
ユーザーは自分のプレイリストを作成し、DJブースでバトルを繰り広げることができる。
注目のポイント:パンデミックによるオンラインコミュニケーションの増加を受け、2013年に一度閉鎖していたサービスを再構築した。
⑥Whatnot / スポーツトレーディングカードのマーケットプレイス B2C マーケットプレイス
5,000万ドル(約50億円) シリーズB
YC Alum。もともとはポケモンカード等が中心であったが、スポーツトレカを立ち上げてから5ヶ月で取引量が急増している。
注目のポイント:a16zは、4月にもスポーツトレーディングカードのマーケットプレイスであるStartstokにも投資している。
⑦Material Security / エンタープライズ向けにEメールセキュリティを提供 B2B ソフトウェア
4,000万ドル(約40億円) シリーズB
ゼロ知識証明を利用して従来のファイアーウォールより厳重なセキュリティを提供。
注目のポイント:これまでメールは、企業における秘密情報が最も集まり、かつ最も脆弱な部分の一つであり、ハッカーの脅威に晒されてきた。Material Securityは、全く異なるアプローチによりこの課題を解決しようとしている。