8月2日週の資金調達
1 Sequoiaがインドの女性向けプロダクトに4件出資 2 金融機関向けブロックチェーンインフラが300億円調達 3 スタートアップ向けの銀行サービスが120億円調達 など合計17件(1,586億円)
SEQUOIA CAPITAL
①Minimalist / インドのスキンケアD2C B2C コスメ
1,500万ドル(約15億円) シリーズA
スキンケア製品とヘアケア製品を100万人に提供。ユニリーバベンチャーズも出資。
注目のポイント:近年、インドでは中間層の台頭とスマホの普及もあり、D2Cビューティーブランドが、投資家の関心を集めている。直近でも、下記のMamaearthのほか、Accelが中心となって、MyGlammに出資をしている。
②Bota Bio / 中国のインダストリアル・バイオテクノロジー B2B バイオテック
1億ドル(約100億円) シリーズB
*インダストリアル・バイオテクノロジー = 生きた細胞や酵素を用いて、製品を効率的に開発・製造する技術。
幅広い産業用途に向けた高価値製品の持続的かつ経済的な生産を可能にする独自の次世代バイオテクノロジープラットフォームを開発。
注目のポイント:近年、SDGSの観点からホワイトバイオロジー(インダストリアル・バイオテクノロジー)が投資家の注目を集めている。
③Landis / 賃貸住宅の購入支援 B2C 不動産
1億6,500ドル(約165億円) シリーズA
注目のポイント:リーマンショック後、住宅の所有率は、2016年に63.7%、2020年には65.8%まで回復している。Landisは、頭金のない世帯に12ヶ月間で金融リテラシーと個別のコーチングを通じて審査することで、マイホーム購入の機会を提供している。
④The Whole Truth / インドにてクリーンラベルのD2C B2C 食品
600万ドル(約6億円) シリーズA
人工香料、有害な保存料を使用しないバーを提供。売上の半分以上は自社サイトから。
*クリーンラベル = 出どころの明確な体に良いとされる原材料を使った食品
https://thewholetruthfoods.com/
注目のポイント:近年、クリーンラベルD2Cへの注目が高まっている。これらの特定の価値観をもったターゲットに向けてブランディングする際には、D2Cのモデルが相性が良い。
⑤Fireblocks / 金融機関向けCrypto管理サービス B2B Crypto(暗号資産)
3億1,000万ドル(約310億円) シリーズD
金融機関におけるブロックチェーンの利用が進んでいる。その理由は、デジタル取引の安全性を高め、記帳におけるエラー、混乱、二重計上、不正の可能性を取り除くことと言われている。
注目のポイント:近年、デジタル資産の利用者が増加している。Fireblocks社によると、ブロックチェーンウォレットの登録数は、2016年の1,098万件から、2021年に7,000万件以上に増加しており、2022年には10億人以上が活用するようになると予測している。
⑥Veera Health / インドの女性向けデジタルヘルスプラットフォーム B2C ヘルスケア
300万ドル(約3億円) シリーズSeed
SurgeのAlum。女性が多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を特定し、医療、栄養療法、ライフスタイル・コーチング、医師のサポートを包括的にナビゲートする。
注目のポイント:今週は、インドの女性向けプロダクトにSequoiaが4件出資している。女性のSecondary educationの進学率は、2000年の37%から、2019年には74%まで増加しており、この新たな層に注目が集まっている。
*Secondary = 12~18歳。日本の中学〜高校に相当。
⑦Gumlet / インドのメディア向け自動化ツール(ノーコード) B2B SaaS
160万ドル(約1.6億円) シリーズSeed
注目のポイント:近年、インドでは急速にスマホが普及している。一方で、先進国ではデスクトップとスマホ両方に対応する必要がある。さらに、IOSとAndoroidも国や職種によって利用率が異なっているため、開発者はターゲットを絞るか、それぞれに対応するためにはコストがかかっていた。この課題をGumletは解決しようとしている。
⑧Culture Amp / オーストラリアの従業員エンゲージメントプラットフォーム B2B SaaS
1億ドル(約100億円) シリーズF
企業が匿名で従業員アンケートを実施するために設立されたが、現在は、収集したデータを行動に移す支援をしている。Salesforce Venturesもラウンドに参加。
注目のポイント:近年、リモートワーク の影響に加え、ダイバーシティの観点からも、マネージャーが新たな手法を取り入れる必要が出てきており、エンゲージメントプラットフォームへの注目が集まっている。
⑨Mamaearth / インドの幼児と女性向けのスキンケアD2C B2B コスメ
5,000万ドル(約50億円) シリーズC
100%無害でナチュラルなベビーケア、スキンケア、ヘアケア製品を提供。ファウンダーは夫婦。4年間で120以上の製品ポートフォリオを構築し、インドの500都市で500万人以上が利用。
注目のポイント:近年、インドの女性向けD2Cに注目が集まっている。Minimalistが科学的なスキンケアブランドである一方、Mamaearthは、もう一つの主力分野であるベビーケアがあるように、ナチュラルなプロダクトを好むマーケットをリードしている。
FOUNDERS FUND
①Paxos / ブロックチェーンインフラストラクチャを提供 B2B SaaS
3億ドル(約300億円) シリーズD
グローバルなフィンテック企業や金融機関によるデジタル資産の導入を可能にする。伝統的な取引とデジタル資産取引の両方の決済を1つのシステムにまとめて効率化している。
注目のポイント:これまでデジタル取引に銀行が積極的に参加しなかったことで、数百兆円の資産が伝統的な金融商品に固定されていた。その課題をPaxosは解決しようとしている。
②Varda / 宇宙工場の建設 B2B 宇宙
5,000万ドル(約50億円) シリーズ不明
Founders Fundの元代表が創業。1年半後に最初の打ち上げと再突入を行い、100kgの素材を持ち帰ることを目標としている。
注目のポイント:近年、SpaceX、BlueOriginなどがメガベンチャー化したことで、宇宙開発におけるインフラが整い、宇宙産業における特定領域を狙うスタートアップが出てき始めている。
③Neuralink / イーロンマスクのブレインマシンインターフェース B2B バイオテック
2億500万ドル(約205億円) シリーズC
注目のポイント:AIとスマホの普及により、人間とデジタルの距離が近くなっており、人間の脳がそれらに繋がることで、天文学的な情報量のやりとりを行うことができるとマスクは主張している。
④Modern Animal / 動物病院プラットフォーム B2C ペット
7,550万ドル(約75.5億円) シリーズC
無制限の検査、アプリ内での処方箋請求と配送、24時間365日のバーチャルケアなどを提供。
注目のポイント:パンデミックの影響により、アメリカ人の約50%が新しいペットを飼い始めたと言われている。特にミレ二アル世代においては76%と言われており、その層が求めるデジタルで使いやすい動物病院をModern Animalが提供している。
ANDREESSEN HOROWITZ
①Turquoise Health / 診療の価額比較プラットフォーム B2C ヘルスケア
500万ドル(約5億円) シリーズSeed
病院の1億7,500万件以上の価格記録を精査して、患者、医療研究者、雇用者グループなどに使いやすい形でデータを提供。
注目のポイント:今年1月に、病院は約300の治療法の価格を、保険会社との交渉による価格も含めて公表することが義務付けられたことで、Turquoise Healthの需要が急増した。
②Mercury / スタートアップ向けの銀行サービスを提供 B2B フィンテック
1億2,000万ドル(約120億円) シリーズB
40億ドル以上の顧客預金を保有し、200カ国以上の顧客にサービスを提供。
注目のポイント:これまで、クレジットヒストリーや収益のないスタートアップは、従来の銀行の審査基準とあっていないという課題があった。この課題をMercuryは解決している。
③Valora / Celo Platformに搭載されたモバイルファーストのCryptoウォレット B2C Crypto
2,000万ドル(約20億円) シリーズA
注目のポイント:近年、Cryptoへの注目が高まっているが、投機的な動きが多く、個人が実際に通貨として利用するケースは限定されていた。Valoraは、スマホアプリとして簡単にCryptoで支払いができるようにすることで課題を解決しようとしている。
④Eco / 高利回りのUSDC貯金アプリ B2C Crypto
6,000万ドル(約60億円) シリーズB
米ドルのステーブルコインで、ユーザーの預金を暗号通貨を運用することで収益を上げている。3月に26億円調達していた。
注目のポイント:直近、同分野のBlockFiが証券違反の疑いで捜査されているという報道が出ている中で調達に成功していることから、消費者の強いニーズが見て取れる。