12月6日週の資金調達
1 デジタルアセット事業者向けカストディプラットフォームが400億円調達 2 ゼロ知識証明を使ったユーザーフレンドリーなCryptoが27億円調達 3 スマートコントラクトの監査提供が80億円調達 など合計14件
SEQUOIA CAPITAL
①Fireblocks / デジタルアセット事業者向けカストディプラットフォーム B2B DeFi
4億ドル(約400億円) シリーズE
数百のクリプトおよびデジタルアセット事業者が、カストディ、トレジャリーの管理、DeFiへのアクセス、トークンのミント&バーンを行うプラットフォーム。 7月に約310億円の資金調達を実施。
注目のポイント:2021年、web3事業の増加により、裏側を支えるデジタルアセットのカストディ事業への需要が増加している。競合企業のAnchorageは、2月に約80億円のシリーズCラウンドを実施し、シリーズDの調達も開始していると言われている。
②Iron Fish / ゼロ知識証明を使ったユーザーフレンドリーなCryptoを開発 B2C DeFi
2,700万ドル(約27億円) シリーズA
zk-SNARKをベースとし、ユーザーは個人情報が守られた環境でトランザクションを行うことができる。4月に最初のテストを開始し、2000人以上のマイナーがコミュニティに参加している。
zk-SHARK: Zero-Knowledge Succinct Non-Interactive Argument of Knowledgeの略。ある情報を持っていることを、その情報を明かすことなく、また証明者と検証者の間でのやりとりなしに証明することができる証明構成。
注目のポイント:これまで、ETHなどのCryptoには、その特性上、Etherscanなどでwalletを検索すると過去の取引が全て公開されているというプライバシー上の課題があった。その課題を解決するCryptoを開発しようとしている。
③Upway / フランスにて電動自転車のマーケットプレイスを運営 B2B2C モビリティ
500万ドル(約5億円) シリーズSeed
フランスで業界標準に合わせて整備され、1年間の保証付き中古電動自転車を購入するマーケットプレイスを運営。フランス市場の後にグローバル展開を考えている。
注目のポイント:これまで、20万円以上する価格、供給不足による配送の遅れ、中古モデルのバッテリーの状態に対する懸念など、電動自転車の購入を阻む要因が存在した。これらを信頼できる中古市場の確立により解決しようとしている。
④Beijing Sudo Technology / 中国にてプライバシー・エンジニアリングの開発 B2B プライバシーエンジニアリング
3億元(約50億円) シリーズC
注目のポイント:近年、Facebookをはじめとするテックジャイアントにおいて、データ活用とプライバシーの問題が注目されてきた。Beijing Sudo Technologyは、その両立を実現するためのソリューションを開発している。
⑤SyMap Medical / 中国にて腎動脈系の医療機器開発 B2B ヘルスケア
1億ドル(約100億円) シリーズE
注目のポイント:中国における60歳以上の人口は2.5億人おり、医療市場への注目が高まっている。Sequoiaは、中国における出資の内、2割以上をヘルスケア・メディカル・バイオテック領域に実施している。
⑥CertiK / ブロックチェーンとスマートコントラクトの監査を提供 B2B ブロックチェーン
8,000万ドル(約80億円) シリーズB2
注目のポイント:近年、DeFiへのハッキングニュースが相次ぎ、セキュリティ面への注目が集まっている。一方で、監査証明はプロダクトの信頼性を高めることにもなり、CertiKはそのニーズを獲得している。
⑦Q-CTRL / オーストラリアにて量子コンピューティングの開発 B2B 量子コンピューター
2,500万ドル(約25億円) シリーズB
エアバスベンチャーズがリード。量子技術の課題であるハードウェアのエラーや不安定性を克服することで、新たな量子技術産業を構築している。
注目のポイント:近年、月面開発、地理空間情報、地球観測など、無数のデータと計算を必要とする領域において、量子コンピューターの実装が始まっており、Q-CTRLがその領域をリードしている。
⑧Laifu Technology / 医療機関のDXを推進 B2B ヘルスケア
2億元(約35億円) シリーズB
アリババグループを中心に、AIを利用した医療ビッグデータの分析など、医療機関のDXを推進している。
注目のポイント:これまで、医療機関ごとにシステムが分断され、データの共有等も行われていなかったことで、地域医療連携の推進が困難であった。Laifuは、臨床管理、薬剤管理、医療技術・医療支援、公衆衛生、病院運営など、すべての業務システムの統一的に構築し、地域住民の健康を一元管理することで、地域の医療システムを再構築している。
⑨LingoAce / シンガポール拠点の中国語学習プラットフォーム B2C 教育
1億500万ドル(約105億円) シリーズC
グローバルに存在する中国語を勉強する4~15歳に、国際認定を受けた4,000人以上の専門資格を持つ教師のチームを有し、インタラクティブな学習を提供。
注目のポイント:Covidの影響で、これまで対面の語学学校が中心であったところが、オンライン学習に移行し、世界全体で予約数が4,000%増加したといわれている。
⑩PayGlocal Technologies / インドにて小売店向け国際決済システムの提供 B2B フィンテック
490万ドル(約4.9億円) シリーズA
加盟店が海外のクレジットカードやデビットカード、複数の外貨を支払いとして受け入れることを可能にし、顧客は自国の通貨を通じて支払いを行うことができるようになる。
注目のポイント:コロナの影響もあり、過去1年で国際間決済が61%増加したと言われている一方で、インドなどの新興国に宛てた決済は未だに困難であった。その課題を、PayGlocalが解決している。
Founders Fund
①Foundry Lab / ニュージーランドにてマイクロ波を使った鋳造技術を開発 B2C 製造
800万ドル(約8億円) シリーズA
3Dプリントができない金属の大量生産の分野で、生産性の高い同一の部品を作り即日出荷するための技術を開発。
注目のポイント:これまで、金属製品における試作品などを作成するためには、製造に1週間から6週間かかっていた。これをFoundry Labは数時間で実現しようとしている。
②Quince / 高品質の女性アパレルD2C B2C アパレル
5,000万ドル(約50億円) シリーズA
ブランドと同品質の服を50~80%安い価格で提供。昨年、ホームデコレーションのカテゴリーを立ち上げ、売上全体の35%になるまで成長した。
注目のポイント:近年、適切なマーケティングを行うことで、消費者のネットブランドに対する信頼を獲得することができるようになっている。その中で、Quinceは女性向けの高品質なブランドイメージの確立に成功した。
ANDREESSEN HOROWITZ
①Iron Fish / ゼロ知識証明を使ったユーザーフレンドリーなCryptoを開発 B2C DeFi
Sequoiaで上述。
②Glorify / クリスチャン向けのアプリ B2C コミュニティ
3,000万ポンド(約45億円) シリーズA
クリスチャンが神との小さなつながりを定期的に持つことで、不安を解消し、よく眠れるようになり、全体的な健康をサポートする。
注目のポイント:Covidの影響で、直接教会に行くことができず不安を抱えるクリスチャンが増えており、Glorifyはこの課題を解決している。8月にはインドの宗教プラットフォームであるAppsForBharatがSequoiaから4億円を調達していた。
③Mainframe Industries / フィンランドにてMMOゲームの開発 B2C ゲーム
2,290万ドル(約45億円) シリーズA
クラウドネイティブなMMO(多人数同時参加型)オンラインゲームを開発中。Epic社のUnreal Engineを使用している。
注目のポイント:近年、FortniteによりMMOが流行している。開発元のEpicは、MMOゲーム開発だけではなく、開発プラットフォームのUnreal Engineを提供することで、エコシステム全体を成長させている。